タイトルに惹かれて読んでみた 「入社1年目の教科書」

巷では「社畜の教科書」なんてひどい呼ばれ方もしている本書。

2011年発行と10年前の書籍でありその時代と働く環境が変化していることもあり、すべてがすべて当てはまるわけではないでしょうが、現在でもその内容は役に立つのでしょうか?

今回はそんな本書について書評を書いていこうと思います。

目次

読んだきっかけ

理由は単純で、「新社会人 おすすめ 本」と検索していたら探していた物そのものであるようなタイトルが目に入ってきたからです。

新社会人という立場は、短いこの一年間しかないので、「この機会を逃せば一生読まないだろうな」と思い買ってみることにしました。

特に重要であると感じた内容

本書ではまず「仕事における3つの原則」として以下の3つを挙げてます。

  1. 頼まれた仕事は必ずやり切る
  2. 50点で構わないから早くだせ
  3. つまらない仕事はない

1.について

これについてはほぼ全面的に共感できると思います。

自分は一般的な製造業の設計・開発職に従事していると自負しています。

私の会社はチームで開発を進めていますが大まかな役割分担として

新入社員・若手→実験などのデータ採り・製品の解析・設計

チームリーダー→各プロジェクトの進捗調整・得られたデータのまとめ・報告資料作成 等

というような分担になっています。(もちろんこの逆もありますが…)

つまり、新入社員の実施する実験や解析・設計のデータを基に上司は客先などへの報告資料を纏めることになります。

したがって新入社員である私たちが仕事が終わっていないからデータが無いという状態は言語同断というわけです。

あらかじめ達成できないような予定であれば上司と相談して予定を変更・ずらしてもらうなどして対応してもらうべきです。

一般的な(理系の)新入社員の役目としては正確なデータを上司に提出することはもちろんですが、それに加えて

  • どうしたら見る人が分かりやすいデータになるか
  • 上司が新人の手綱を握るためにこまめに簡潔な報告をしているか

という付加価値が重要になってくると思います。

2.について

これも全面的に同意できると思います。筆者は

ビジネスの現場は、誰の助けも借りず、何も見てはいけない学校の試験とは違います。人の力を使うことは悪ではないのです。求められるのは、良い結果を出すこと、それにスピードです。

引用元: 岩瀬大輔(2011) 入社1年目の教科書(ダイヤモンド社)

と解説しています。

これは全くもってその通りで、これまでの学生生活で評価テストを中心とした問題解決フローに慣れてしまった新社会人にとっては、とても違和感の感じることだと思います。

完璧に仕上げてから提出しないと何か文句を言われるかも…

と思いがちですが、上にも書いた通り上司は部下の手綱を握りたいと思っています。(というかそれが上司の役目です)

なので、新人が独りで精いっぱい考えた方向性の違う報告より、何回も聞きに来て修正した方向性の正しい報告の方が良いです。

いままでの学生生活で間違うことが悪であることを植え付けられている人にとって、途中結果を提出して訂正されるのは相当な抵抗があると思います。

しかし、自分が完璧だと自負した仕事が後から全部おじゃんになるのはもっと精神的にくるものがあります。

なので、自分の仕事について分からないところがあれば躊躇うことなく、上司の指示を仰ぐことをおすすめします。

3.に関して

筆者にはこれに関して、単調な仕事を頼まれても自分で付加価値をつけたり、その見方を変えたりすることで、つまらないと思う仕事を意味のある仕事にするという考えだとしています。

これに関してはおおむね同意ですが、この原則に対して私は以下の点も付け加えられると思います。

最初はどんなにつまらないと思う仕事でもやっていく過程で今までやってきた仕事の全体像が分かるようになり、自分の仕事にプライドができるようになる。

そのプライドができれば、自分の頭で考えることが増えて仕事を自分で進める楽しみが生まれる。

筆者の主張はこのような自分で考える必要がほぼ無いような仕事に対しての心構えであるが、もっと仕事全般的についても自分の心持ち次第でやる気をアップすることができると感じます。

本書で得られた教訓

議事録は時系列で書くな

学生・研究室時代って研究の報告会とかは多いけど、意外と議事録とかは纏めない印象。

なのに社会人になると新人でも多くの会議に出席し、中には「議事録を取ってくれ」と言われることも。

今まで議事録の取り方なんてほとんど学んでこなかったので、とりあえず会議の発言内容をメモに殴り書きしてそれをパワポとかにまとめて上司に提出したら、

もっと見る人に分かりやすく

なんて言われたら「どうやって書けばいいんだよ…」って思いますよね。

新人の私が議事録についてとりあえず注意していることは

  • 最初に出席者・会議の目的・会議の結論を一枚にまとめるようにする。
  • フォーマットやスタイルは統一して、誰の発言か、どの階層にあるかを分かりやすくする。

ぐらいはやることにしています。

それに加えてタイトルにもあったように論点を整理しながら議事録を纏めることで、自分なりの付加価値を追加した議事録を作ることができます。

会議では新人でも必ず発言せよ

筆者は新入社員の会議での発言の役割は「現場の感覚を伝えること」と評しています。

ベテランは経験を基に問題を解決しようとするが、新入社員はそれらの先入観にとらわれない問題解決策を提供できる可能性があるからです。

これに関しては分かっているのですが、なかなかできないですよね。

現に私もこの半年様々な会議に出席しましたが、発現することがなかなかできません。

特にプロジェクトの途中で参加した会議とか、自分がまだ実施していない内容の会議とかは聞いても内容が右から左に流れていきます。

ただ、このように会議で発言できないことが多いですが、最低でもその会議の分からないことについては上司に聞くようにしています。

世界史ではなく、塩の歴史を勉強せよ

タイトルだと何を言っているかよく分からないと思いますが、要は

ビジネスにおいて勉強とは入門書などで漠然と全体像を学ぶのではなくて、必要性に迫られて、焦点を絞って深く掘り下げて学ぶことである

ということです。

自分の体験談でも例えば…

研究で役立つようにプログラミングを勉強をしようと思ったけど、具体的に何をできるようになりたいと目的を設定していなかったので入門書を一回読んだだけで終わってしまった

というようなことがありました。

やはり、勉強によるスキル習得という意味では「何を解決したいか」という問題意識が重要だと思います。

批判的な評価について

この本をAmazonとかで調べると、「社畜のための教科書」だとか「著者の自慢話」とかのレビューが散見されます。

確かに本書の後半になるにつれて、「ちょっと自分語りが多いかな」と感じる部分もありますが、前半部分については読む価値は大いにあると感じます。

また、「社畜のための教科書」という批判についてですが、これはこの10年で副業などがより一般的になり、本業についての考え方が変化していることも一つの要因であると考えられます。

しかし副業が一般的になった現代でも、本業は重要な生活の一部であり副業のみで生計を立てたり、FIREをするのは容易ではないと考えられます。

そのため、本業においてもある程度は責任や興味をもって仕事をする必要があり、その点において本書は有効であると思います。

ただこの本をすべて真似るというのは自分で何も考えない社畜人間になるだけですし、この本の内容の中から自分で実践できそうな内容を取捨選択して自分なりに考えて実行に移すというプロセスが重要だと感じます。

まとめ

ちょっと今回は書きたいことが多くて長くてまとまりがない文章になってしまいました…

全部が全部実践できるわけじゃありませんが、本書の中でも何か一つでも実践することができれば、

より良い社会人に近づけるかと思います。

では、また次の書評で。

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