みなさんは、高校生の進路選択の時期にこんな話を聞いたことがありませんか?

自分はコミュ障だから文系は向いていないかな… 理系にしようかな…
かくいう自分も、高校のころからあまり積極性のない人間だったので



文系に進学したら大学生活でなにもせずに詰みそうだな~
と思って理系の道を進学しました。(本当は歴史とか古典の方が好きだったけど…)
幸い理系科目に極度の苦手意識は無かったので大学時代もそこそこの成績を維持しながら大学院に進み、そして就職まで出来ましたが、自分の性格と自分の進路選択について悩んでいる人も多いかと思います。
今回は自分でこの道を選択して感じたことも踏まえて、この難題について考えていこうと思います。
そもそも文系就活と理系就活では要求されるコミュニケーション能力が違う
よく文系の大学生に必要といわれる「コミュニケーション能力」というのは「人を纏める能力」に集約されていると思います。
例えば、サークルの代表にになってみんなの意見を聞いてそれを反映させたり、バイトで後輩に適切な指示を出したり…とか。
どちらかと言えば、チームで行動するためにみんなの要望を収集・反映させるリーダーシップのようなものと言うことができるかと思います。
だから就活の面接でも



「○○サークルの代表(副代表)になって~、○○することにより~、サークルを一つにまとめ上げました」
てな感じのアピールが多いかと思います。
言い換えれば 一人対大勢 のコミュニケーション能力です。
一方、私が感じた理系にも必要なコミュニケーション能力はこのように大勢をまとめ上げるコミュニケーション能力ではなく、
一対一(または小数)のコミュニケーション能力です。
次の章でそれについて説明していこうと思います。
理系の大学~大学院で必要なコミュニケーション能力
大学で必要なコミュニケーション能力
大学(理系)で「これが無ければ大学生活がままならない!」っていうようなコミュ力はほぼ無いような感じがします。
現に私は、大学時代にバイトを一度もやったこともなければ、サークルに関しても一年間だけしか入っていなかったので、就活の面接で役立つようなコミュ力やエピソードは皆無に等しかったです。
強いて挙げるとすれば、大学の講義等の分からない問題を教えあうようなグループがあれば良いと思います。
大体、大学のテストってどこからか流れてきた過去問を対策して乗り切るかと思います。
過去問で対策すること自体悪であると思いませんが、過去問だけで対策してしまうと、局所的に知識をつける傾向があるため、勉強という観点では成長が限定的となります。
物事の本質的理解という意味では、日々の講義で不明点を補いあえる友人グループに属しているとより成長できるかと思います。
大学院で必要なコミュニケーション能力
この大学院での研究において必要なコミュニケーション能力が先ほど説明した一対一のコミュニケーション能力です。
研究ってこれまで社会に無かったことに対して仮説を立て、実験や解析をすることによりそれを検証していくことになります。
つまり、研究においては「答えの無い問題」について正面から向き合うことになります。
それまでの義務教育から大学まで「答えの明確な問題」で成績の優劣をつけられていたのに、大学院に入ると急に漠然とした答えを掴むために四苦八苦することになります。
ここで今までに、過去問や回答の暗記をメインで良い成績を収めてきた人はまず躓くかと思います。
私の経験上、GPAは結構いいのに自分で考えることが苦手なのか、自分の考えを言うのが苦手なのか、研究が上手く進んでいない人を結構見てきました。
大学院の研究で、特に必要なスキルは
- 自分で考え抜く力
- 詭弁でもいいから自分で考えた内容を検証・弁護する力
だと思います。
それまでの成績に比例してこれらの力もついている人が多いですが、稀にGPAが良いのに上記の能力が極端に低い人もいます。
そのような人は大学院に入ると結構苦労します。
一方、歴史に名を残すような余程の天才でもない限り、一人で考えて及ぶことのできるアイデアには限界があります。
そこで、自分が考えた内容を教授と話し合い、自分のやっている研究の方向性が正しいのか逐一確認する必要があります。
- データを取る
- 得られたデータの原因を考える
- ②について教授等と議論してフィードバックを得る
一般的にこのサイクルを回すことで成果をコツコツと積み重ねていきます。
これが私の言いたい大学院に必要なコミュニケーション能力です。
私の大学院時代は、週に一回は一時間程度教授の部屋に行って研究の方向性を話し合うようにしていました。
この時スライド等の資料があると便利ですが、完璧な資料を作る必要はありません。
逆に完璧な資料を作ろうとするとそれが完成するまで報告に行けないという悪循環に陥ります。
私の場合、上手くいった結果と失敗したデータのみを貼り付けた資料を持って行き、自分の考えたデータの理由と、今後の方向性を口頭で説明していたりしました。
どんなにゴミみたいな資料でも教授と話すときになれば自分の言いたいことを話せると思います。(ただし普段から考えながら検討していればですが…)
この教授とのコミュニケーション以外にも、例えばチームで研究していたり、企業との共同研究をしている場合があります。
このような場合にも研究のデータや自分の考えについて意思疎通を図ることが重要です。
これら情報共有の全体を通して重要なのが
期日より早めに40%の出来でもいいから第一稿の完成品を見せる
ことだと思います。
大体の人って期日に100%の完成品を提出しようとして中間報告がおざなりになりがちです。
この問題点は方向性が間違っていた場合、今までの努力がパアになあるところです。
なので監督者や共同研究者にしてみれば、途中でもいいから結果を共有てほしい(=手綱を握りたい)と思うはずです。
少々長くなってしまいましたが、大学院で必要なコミュニケーション能力は
- 結果について自分で考える力
- 上記のアイデアを教授や周りに共有する力
- 素早く中間報告できる力
だと思います。
まとめ
研究室っていわば「村社会」でそこのボスである教授との意思疎通ができないと「研究ができない人・自分で考えられない人」という固定観念を植え付けかねません。
一度そう思われてしまうと余程変化をしない限り、なかなか評価を覆しづらいです。
お金を払って大学院に行っているのに、そのために心労が溜まってしまうのは元も子もありませんよね。
心を病まないためには自分の考えの芯を持つことが重要です。
それを持ちながら自分の言いたいこと伝えることだけで、理系としてのコミュニケーション能力としては十分だと思います。